ウィーン美術大学絵画館所蔵 ルーベンスとその時代展
No:0013_0001
三美神
The Three Graces
油彩・板、119×99cm(Oil on Canvas 119×99cm)
1620-24年頃(c.1620-24)
ウィーン美術大学絵画館(Academy of Fine Arts Vienna)
No:0013_0002
ボレアスとオレイテュイア
Boreas Abducting Oreithyia
油彩・板、146×140cm(Oil on Canvas 146×140cm)
1615年頃(c.1615)
ウィーン美術大学絵画館(Academy of Fine Arts Vienna)
No:0013_0003
ケレスとバッカスがいないとヴィーナスは凍えてしまう
Without Ceres and Bacchus,Venus Freezes
油彩・板、51.5×79cm(Oil on Canvas 51.5×79cm)
1614年頃(c.1614)
ウィーン美術大学絵画館(Academy of Fine Arts Vienna)
美術展のカタログには、
その意味は「ケレス(豊穣の女神)とバッカス(酒の神)がいないと、ヴィーナス(愛の女神)は凍えてしまう」ということだ。この言葉の出典は古代ローマの詩人テレンティウスの喜劇『宦官』(第732行)であるが、テレンティウスの作品の最初の注釈ですでに役者たちの対話から切り離され、人口に膾炙した言葉となった(カタログp120抜粋)。
とあります。この絵画で描かれているのはヴィーナスとキューピッドだけでケレスとバッカスは描かれていません。タイトルには書かれているけど絵画として描かれていないのはちょっと寂しいですね。なお、同じ題材の作品が2009年に国立新美術館で行われた「THEハプスブルク」に出展されていました。ポストカードはありませんでしたので、画像はありませんが、
○ケレスとバッコスがいないとヴィーナスは凍える
○バルトロメウス・スプランゲル
○1590-95年頃 油彩、カンヴァス 161.5×100cm ウィーン美術史美術館
というデータでした。カタログの説明はほぼ同じ内容でしたが、この絵画の説明も「ルーベンスとその時代展」のカタログにあり、
バッカスの代理であるサテュロスがその様子をあざ笑いながら、ケレスのシンボルである、果物に満たされた「豊穣の角」までも持ち去るところだ(カタログp120抜粋)。
あれっ「バッカスの代理であるサテュロス」? 画像がないので説明し辛いのですが、何故サテュロスと記述しているのか、私には分かりませんでした。「THEハプスブルク」のカタログにはバッカスと記述されていますし、イケメンのバッカスという方が自然なような気がしますが……。
詳しくは→ 【絵画の中のギリシア神話】 愛vs食の話
No:0013_0004
ケレスとバッカスがいないとヴィーナスは凍えてしまう
Without Ceres and Bacchus,Venus Freezes
油彩・板、33.5×49.5cm(Oil on Canvas 33.5×49.5cm)
1630年頃(c.1630)
ウィーン美術大学絵画館(Academy of Fine Arts Vienna)
美術展のカタログには、
ただし、プーレンビュルフは神々の集まる場所を、自分がふさわしいと考えるところ、すなわち雲の上のオリュンポスの世界に設定した。彼のこの解釈は、ローマのバロック絵画に接したオランダ人のものであり、ルーベンスの解釈とは全く違った形をとっている(カタログp148抜粋)。
とあります。左側で横たわっているのがケレス、後の男神がバッカス、右側に立っているのがヴィーナスです。確かに3神ともオリュンポス12神というギリシア神話の主要な神様の一員ですので、天上にいるという設定は正しいような気はしますが……神様には当てはまらないテーマではないでしょうか?
あくまで「人間にとっては」飲食が満たされてから愛、なんだと思います。まぁ、神様たちが「私達の勝ちよね、バッカス」とか話して、楽しんでいるのかもしれないですね。
詳しくは→ 【絵画の中のギリシア神話】 愛vs食の話