美をめぐる100年のドラマ フランス絵画の19世紀
La peinture francaise du XIXe siecle : academisme et modernite
20090612-20090813
「ギリシア神話がありそうな美術展レポート」あります。 [2009.8.29 up]
8月以降に新規販売された「狩りの女神ディアナ」を追加致しました。 [2009.10.11 up]
No:0028_0001
シビュレと黄金の小枝
La Sibylle et le rameau d'or
油彩、キャンヴァス、130.2×97.5cm(Huile sur toile 130.2×97.5cm)
1838年(1838)
ヤマザキマザック株式会社(Yamazaki Mazak Corporation)
No:0028_0002
パフォスのヴィーナス
Venus a Paphos
油彩・カンヴァス、91.5×70.5cm(Huile sur toile 91.5×70.5cm)
1852年頃(Vers 1852)
オルセー美術館(Musee d'Orsay)
No:0028_0003
ヘベ
Hebe
カロリュス=デュラン、本名シャルル=エミール=オーギュスト・デュラン
油彩・カンヴァス、200×104cm(Huile sur toile 200×104cm)
1874年(1874)
リール美術館(Lille,Palais des Beaux-Arts)
美術展のカタログには、
ヘベはユピテルとユノの娘で、優美さと若さの女神である。カロリュス=デュランは、ヘベがユピテルの鷲の上から神々に不老不死の酒(ネクタル)を注ぐ場面を選んだ(カタログp142抜粋)。
とあります。鷲はゼウスの象徴の一つですが、ヘベの後任のガニュメデス(美少年)は鷲で連れ去れていますので、その事を暗示しているような気がします。
詳しくは→ 【絵画の中のギリシア神話】 ヘベの話
No:0028_0004
狩りの女神ディアナ
Diane cbasseresse
油彩・カンヴァス、106.5×75.5cm(Huile sur toile 106.5×75.5cm)
1882年(1882)
栃木県立美術館(Tochigi Prefectural Museum of Fine Arts)
【絵画の中のギリシア神話】 アルテミスの話
ディアナはローマ神話の女神ですが、後にギリシア神話の女神アルテミスに統一されていますので、同一の女神と考えて差し支えないかと思います。
アルテミスはアポロンという男神と双子の姉弟で、父親は大神ゼウス、母親はレートーというのが一般的です。また、アポロンは太陽の神、アルテミスは月の神といかにも双子らしい役割を担っています。2神ともオリュンポス12神に名を連ねています。
アルテミスは慈悲深い女神ですが、厳しい面も持っています。また、アルテミスはやはり月の女神のセレネやヘカテという女神、ニンフのカリストーとも同一視されることがあります。例えば「エンデュミオーン」の話ではセレネではなくアルテミスが接吻しているという記述が見られます。
個人的にはアルテミスは厳格な処女神、という印象がありますので、例え接吻といえどそのような行為は行わなかったと思っています(オリオンの話もありますが、あれも恋心を持ったぐらいならいいのかなぁ、と。でもその時点でアフロディテに負けちゃいそうですが……)。
アルテミスはお供のニンフを引き連れ、男性的な狩りをしているイメージがあります。しかし、何故か絵画では処女神なのに「サービスショット(?)」が多いような気がします。狩りの後の休憩や水浴のシーンが多く、アルテミスとしては「女神の役割としては、そっちじゃないだろ」と怒られそうですよね。
この絵画は青字部分を描いた物と思います。カタログには、
木に腰掛け左手で頭を支えるというポーズをとっている。このポーズは伝統的に「メランコリー」の状態にあることを示すものであるが、そのことがこの作品にどこか物憂げな様子を与えていると言えるだろう(カタログp120抜粋)。
とあります。狩りでも上手くいかなかったのでしょうか? 女神が(天上ではなく)地上で黄昏ているのは、何か興味深い気がします。特に、野山を駆け巡る狩りの女神アルテミスにしては珍しい絵画だと思います(このポーズはアフロディテさんの方が似合いそうですよね)。
個人的な話ですが、このポストカードにはとても思い入れがあります。入手できたのは本当にラッキーでした。美術展も(恐らくは販売促進の為?)色々と大変だとは思いますが、入手する方も大変だと実感した1枚でした(この話はいずれ機会があれば)。