おすすめ本
ギリシア神話のおすすめ本、20冊を右フレーム(→)のミニ本棚に掲載いたします。ギリシア神話は内容が膨大で登場人物・神様・英雄・美女が多数登場し、全体の概要を理解するまでにとても時間がかかります。
ギリシア神話を楽しむには、まず「全体概要」を掴む事がコツかと思います。「全体概要」を掴むのに最適なのは(賛否両論はあるかと思いますが)マンガだと思います。
特にお勧めなのが里中満智子さんの「マンガ ギリシア神話」シリーズ(全8巻)です。まずこの8巻で全体概要を掴んで頂ければ、後は意外とスンナリ理解でき、どんどんと深みにハマッていけるかと思います。
「マンガより文庫で」という方には阿刀田高さんの「ギリシア神話を知っていますか」か、曽野綾子さん・田名部昭さんの「ギリシアの神々」、または、多少敷居は高いかもしれませんが、トマス・ブルフィンチさんの「完訳 ギリシア・ローマ神話」が最適だと思います。
もう絶版で手に入りにくいですが、笑って楽しみながら全体概要を理解するにはシブサワ・コウさんの「爆笑ギリシア神話」シリーズ(全3巻)が、実は最強です。
何を隠そう私も、体系的にギリシア神話を理解できたのはこの爆笑シリーズがあったからです(絶版になったのが、とても残念です)。
ギリシア神話
著者 アポロドーロス
訳者 高津春繁
オススメ度 ★★★★★
本物のギリシア神話本です。何が本物かは難しい問題ですが……。原題は「ビブリオテーケー」で「神話の図書館」とも言われるそうです。
訳者の高津春繁さんが「まえがき」に書かれている様に「甘ったるい」ギリシア神話の本ではありません。著者アポロドーロスは約1~2世紀の人ですが、この少し前の時代のオウィディウスの「変身物語」は訳者の言われる「甘ったるい」ギリシア神話の代表と書かれています。
個人的にはオウィディウスの「変身物語」は読みやすく物語性に富んでいて、かつ上手くまとめられているので、嫌いではありません。ただ、ギリシア神話というよりローマ神話っぽい所があります(神名もローマ名で書かれています)。
それに対してアポロドーロスの「ギリシア神話」はストイックなまでに「ギリシア神話」になっています。物語性は薄く、無味乾燥な事は否めません。しかし、現存し邦訳されている本の中では「ギリシア神話の原点」とも言える本ですので、ギリシア神話を深く知りたい方には必須の本と思います。
逆にギリシア神話の絵画を見る為には必要ないかもしれません。ギリシア神話の絵画と言われている物の大半はローマ神話がベースで、どちらかと言えば「甘ったるい」と書かれているオウィディウスの「変身物語」の方が適しています。
トロイア戦争全史
著者 松田 治
オススメ度 ★★★★★
トロイア戦争を分りやすく一つにまとめられた作品です。「イリアス」や「オデュッセイア」そして「トロイア戦記」はそれぞれ名作だと思いますが、トロイア戦争の全体を掴んでいないと今ひとつ面白くないのも事実だと思います。
そんな中でこの「トロイア戦争全史」はトロイア戦争の始めから終わりまで全体が記述されていて、概要を掴むことが出来ます。ギリシア神話をある程度、読まれた方が読むには最適だと思います。この本を読んでから「イリアス」などを読まれると「あぁ、この辺の場面ね」と分りやすくなります。
逆に「イリアス」などを読まれた方が読むと「パクリか」と思うような文章も出てきますが、一つの物語としてみるにはやはり最適と思われます。