オルレアン美術館展 ロココからエコ-ル・ド・パリまで
No:0043_0001
プシケの目覚め
Le reveil de Psyche
油彩、カンヴァス、105.0×148.0cm(Huile sur toile 105.0×148.0cm)
1867年サロン出品作(Salon de 1867)
オルレアン美術館展(Musee des Beaux-Arts d'Orleans)
【絵画の中のギリシア神話】 プシュケの話
プシュケはとても美しかった為(もっともギリシア神話の98%以上は美女ですが……)、美の女神アフロディテより崇拝されました。アフロディテは腹を立て、息子のエロスに醜男と結婚するように仕向けますが、エロスはうっかりと「惚れる矢」で自分を傷付けてプシュケを愛してしまいます。
プシュケは神託により、花嫁としてエロスの用意した宮殿に連れ去られます。この宮殿では美しい音楽が流れ、自動的に食事が用意され、何不自由なく暮らせるようになっていました。夜になるとエロスが臥所を共にしましたが、姿は見せませんでした。この話を聞いたプシュケの姉(2人います)は、その夫は怪物だろうから殺してしまった方がいいと警告し、プシュケもそれに従いエロスを殺そうとします。
夜、眠りこんだ夫を殺そうとランプでその姿を見ると怪物ではなく神のエロスでした。この時、ランプの油がエロスの肩に落ちてエロスは目を覚まします。姿を見られたエロスは、プシュケのもとを去ってしまいます。
この後、プシュケはエロスの母であるアフロディテを訪れ、許しを請います。アフロディテは穀物の選り分けや人食い羊の羊毛を集めさせる等の難題を出しますが、周りの助けにより、これらをクリアします。
最後にアフロディテは、冥界に行きペルセポネから美をもらってくるように命令します。ここでも助けがあり、プシュケは死なずに冥界に行き、美の入った瓶を手に入れます。しかし帰り途中、つい好奇心に負けて瓶を開けてしまいます。中からは美ではなく「死の眠り」が出てきて、プシュケは眠る屍となってしまいますが、夫・エロスに助けられます。
この後、アフロディテはプシュケを許し、不老不死となってエロスと正式に結婚します。
この絵画は青字部分を描いた物と思います。カタログには、
ウェベールはこの絵で、アプレイウスの物語をいくらか自由に解釈してプシケの目覚めの場面を描いた。若きプシケは彼女の部屋にいて、音楽の調べで目覚めたまさにその瞬間が表現されている(カタログp176抜粋)。
とあります。エロスの宮殿には人がいず、自動(または見えない)で全てが用意されるイメージがありましたので、この絵画を最初見た時は「あれっ?人がいる」と思いました。でも、綺麗な絵画ですよね。
因みに、プシュケとエロスの話はギリシア神話というよりは、比較的新しいローマ神話になりますのでエロスというよりアモールという呼び名の方が一般的ですね。