絵画の中のギリシア神話
第001話 ペルセウスの話
「娘の子供は祖父を殺す」という予言の為、娘(ダナエーという美女)は青銅の塔に閉じ込められます。それでも予言通りペルセウスは誕生します(父親は大神ゼウス。黄金の雨に化けて忍び込みました)。この為、祖父・アクリシオスによりダナエーとペルセウスは島流しにされます。
アクリシオスはアルゴスという都市(地図参照)の王で、ここの海岸からダナエーとペルセウスを箱に入れて島流しにしますが、運良くセリーポス島(地図参照)に到着します。
どうでもいい話ですが、アルゴスからセリーポス島まで約150kmはあります。時速10kmだとして15時間ですので、恐らく丸一日は流されたものと思います(結構辛そうです)。
セリーポス島に着くとディクテュスという漁師が箱を開けてくれました。このディクテュス、かなり親切な人だったらしく二人を養ってくれます。因みにこのディクテュスには「網」という意味があるそうです。
また、お兄さんはポリュデクテースといい、このセリーポス島の王なのですが、ダナエーに恋をしてしまいます。ペルセウスはディクテュスの所で順調に成人しますが、その間も島の王・ポリュデクテースはダナエーに言い寄り続けます。
ある日、ポリュデクテースは島の人達に贈り物を要求します。ペルセウスはディクテュスの所で世話になっている身、贈り物を揃える事が出来ません(馬を要求したとの事。流石に居候の身には贈れなさそうです)。
そこで「メドゥサの首」をあげる無茶な約束を、つい若気の至りでしてしまいます。このメドゥサというのは不死身の「ゴルゴーン」3姉妹という頭髪が蛇になっている怪物の末っ子で、唯一メドゥサだけが不死身ではなく、その顔を見ると恐怖の余り石になってしまいます。
普通に考えると達成できなさそうな約束ですが、そこは大神ゼウスの息子、女神アテナと男神ヘルメースが手助けをしてくれます。
三人で目と歯が1つしかない老婆の怪物・グライアイからメドゥサの居場所を聞き出し、ニンフから必要な道具「隠れ帽子(姿が見えなくなります)、羽根付サンダル(空を飛べます)、皮袋(キビシスというそうです)」の3点を入手します。
女神アテナから鎌と盾を貸し与えてもらい、直接見ないように盾に写る、眠っているメドゥサの首をはね、皮袋(キビシス)にしまって無事に逃げます。
帰る途中、地球を抱えている神アトラスをメドゥサの首を見せて山に変え、アトラス山にしてあげます。更にエチオピアにて、岩に縛れた美女(アンドロメダ)を見つけます。アンドロメダはポセイドン神の怒りを買って生贄に出され、怪物に襲われそうになっていましたが、これも助けます。
助けたアンドロメダと結婚し、約束通り「メドゥサの首」を持って帰り、ダナエーを口説くポリュデクテースを石に変えます。
セリーポス島の王は弟だったディクテュスが跡を継ぎます(ただ、漁師で自由気ままそうですので上手く治められるのか、ちょっと気になります)。
ペルセウスがアルゴスに帰ってくると言う事で祖父・アクリシオスは遥か北のラーリッサ(地図参照)に遁れます。その後、しばらくしてからペルセウスはラーリッサに行って円盤投げの競技に出ます(まぁこれが運命、というものなんでしょうねぇ)。
ペルセウスの投げた円盤が祖父・アクリシオスに当って死亡し、予言が的中します(この時、祖父は高齢で予言が無くてもすぐに亡くなっていそうな気もしますが……)。
その後、ペルセウスは恙無く暮らしたとの事です(因みにギリシア神話最大の英雄・ヘラクレスはこのペルセウスの曾孫に当ります)。