ジャック・カロ ― リアリズムと奇想の劇場

Jacques Callot Theater of Realism and Fantasy

国立西洋美術館

20140408-20140615

2014年4月25日(金) 晴れ 13時15分~13時40分頃

 

【総評】

 

 連休合間の平日でしたが、そこそこ人がいました。入口にルーペが置いてあり、自由に借りることが出来ます。作品自体は2012年に行われた「クラインマイスター」展の物よりは大きいのですが、精緻でルーペで見た方が良く見えるかと思います(私は借りませんでしたが)。

 

 ギリシア神話関連ですが……特にギリシア神話と明確な物はありませんでした。ただ、「登場人物(神?)」として描かれている物が8点ありました。

 

 1.ジャック・カロ 「パルナッソス山の山車連作〈美の戦い〉より」

 2.ジャック・カロ 「第二の幕間劇:地獄はキルケの仇討をするために武装する連作〈幕間劇〉より」

 3.ジャック・カロ 「ナンシーの競技場」

 4.ジャック・カロ 「連作〈槍試合〉ファルスブール公の入場」

 5.ジャック・カロ 「連作〈槍試合〉ド・ヴロンクール殿、ティヨン殿、マリモン殿の入場」

 6.ジャック・カロ 「連作〈槍試合〉ド・クーヴォンジュ殿、ド・シャラブル殿の入場」

 7.ジャック・カロ 「連作〈槍試合〉ド・クーヴォンジュ殿、ド・シャラブル殿の入場(シリーズ外)」

 8.ジャック・カロ 「連作〈槍試合〉ロレーヌ公シャルル4世の入場」

 

 この外にもアポロンの名前や、もしかするとギリシア神話関連?というのもありましたが、図録やキャプションにも説明がないので、とりあえず外しています。

 

 所々、精緻さに惹かれて(珍しく)観ていると「パルナッソス山」という題名が目に留まり、良く観るとペガサスのような姿が。キャプションを読むと「<略>山車は、古代神話のムーサたち、つまり学芸を~<略>」と書かれていて、これはギリシア神話関連もありそうだなぁと、次を観るとさっそく「キルケ」の文字が。図録を見ると、

 

 アリオストの「狂乱のオルランド」や古代神話から抽出した要素を混ぜ合わせたもので(p68抜粋)、

 

 との事でキルケさんは「悪役」として出演(?)しているようです。その他、冥府の王プルートやクピドの名、ステュクス川等が書かれています。

 

 こうしたいささか荒唐無稽な筋書きをもつ劇の上演によって、カテリーナとフェルディナンドの結婚が祝福されたのであった(p68抜粋)。

 

 と図録にありましたが、色々な「祝福な仕方」がありますね^^;

 

 3.の「ナンシーの競技場」は大きな作品なのに細々、色々と表現されています。図録には、

 

 右端には、2頭のケンタウロスが引く山車が控えているが、その大きな岩を象った出しには、頂に立つ軍神マルス、前方の愛の神エロスと返愛ないしは恋の復讐の神アンテロスのほか、縛られた捕虜たちが乗っている(p107抜粋)。

 

 との事なのですが……小さいです。

 

 4.から8.の「連作〈槍試合〉」にはアポロン神、英雄ヘラクレス、軍神マルス、クピド、冥府の判官ミノスとラダマンテュス(アイアコスはいない)、ケルベロス、ウルカヌス神、そして「パリスの審判」で争ったウェヌス女神、アテナ女神、ユノ女神、等の名前が出てきます。

 

 ただ、この連作の中で目を惹いたのが、5.で、

 

 隣には、やはりイルカを象ったやや小型の山車が並び、ヘロドトスがイルカに命を救われたと伝える詩人アリオンに扮した人物が、リュートを奏でている(p108抜粋)。

 

 この作品だけ「海」が背景ですので、それで目に付いたのだと思いますが、アリオンというのがちょっと渋いですね。

 

 実はギリシア神話関連はないだろうと思っていたので、チラ見で「非日常からの呼び声」に行くつもりでした。でも精緻さに惹かれて観ていて正解でした。

 地味な美術展ですが、意外と楽しめると思います。

【購入グッズ】

 

図録 \2,400

 

 図録以外は特にグッズは販売されていませんでした(でも図録はやけに立派です)。