ポール・デルヴォー 夢をめぐる旅
2012年9月15日(土) 晴 13時10分~14時00分頃
【総評】
まず、最寄の東府中駅から府中市美術館まで、遠いです……春などの良い季節であれば公園が心地よいのですが、残暑厳しい9月、ちょっと辛かったです。電車で行かれる方は10月以降の方が良いかも、です。
肝心の美術展ですが、美術展が始まり最初の土曜日なので混んでいるかと思いましたが、空いていました。ちょっと拍子抜け……。ただ、係りの方は多かったように思います。
ギリシア神話関連ですが、以下の6点がありました。
ポール・デルヴォー 「≪鏡の前のヴィーナス≫(1946年)のための習作」
ポール・デルヴォー 「≪ピュグマリオーン≫(1939年)に基づく舞台背景の習作」
ポール・デルヴォー 「エペソスの集いⅡ」
ポール・デルヴォー 「ペーネロペイア」
ポール・デルヴォー 「オリンピアのゼウス神殿」
ポール・デルヴォー 「カリュプソー」
この6点以外でもデルヴォーさんの作品は、以前から作品の所々に「ギリシア神話的要素が入っている」ような気がしていました。普段は読まない図録の前の方(序文)を何気なく見てみると、
展覧会の副題「―夢をめぐる旅―(原語:Odyssee d'un reve)」は、デルヴォーの芸術的探求における二つの重要な要素に言及している。一つは、少年時代のデルヴォーの想像力をかきたてたホメーロスの『オデュッセイア』と『イーリアス』である。ギリシアの詩人ホメーロスはデルヴォーの作品世界の形成に強い影響を与えていて、多くの作品に描かれるギリシア風の建物、作品のタイトル、そして主題は古代文明に対するデルヴォーの憧れを反映している(カタログp12抜粋)。
とありました。う~ん、そうだったんですね。ギリシア神話以外でもこの方の絵画は(私にしては珍しく)気になっていたのですが「夜、薄明かり、虚ろな裸の女性」といった独特の画風だけでなく「何となく、ギリシア神話」を感じさせる作品の「背景」に惹かれていたのかもしれません。
「≪鏡の前のヴィーナス≫(1946年)のための習作」は左側に鏡を持ったヴィーナスがいて、右側に林の中に人々がいる構図です。何故ヴィーナスなのに林なのだろうと思ったのですが、この右側部分は「ドビュッシー 音楽と芸術 印象派と象徴派のあいだで」展でも観たオルセー美術館所蔵のモーリス・ドニさん「ミューズたち」に似ているような気がしました。もしミューズたちならヴィーナスでもおかしくないな、と思ったのですが、林や森を写生していた絵が複数出ていましたので、私の単なる妄想ですね……。
「≪ピュグマリオーン≫(1939年)に基づく舞台背景の習作」は白黒なのですが、何も知らずにこの作品だけを見せられても、多分、デルヴォーさんと分かるような、そんな作品です(左に小さく描かれている女性がガラテアさんでしょうか?)。
「エペソスの集いⅡ」ははっきりギリシア神話、という訳ではありませんが、図録に、
女神アルテミスゆかりの地で、背景の建造物はアルテミス神殿であることが創造される(カタログp68抜粋)。
とありますので、ギリシア神話関連の絵画と思っています。エペソス(エフェソス)といえば「おっぱいいっぱいアルテミス」の像が有名ですが、この像はフェリックス・ギラン著「ギリシア神話」に、
エペソスのアルテミス。小アジアの豊穣の女神。彼女は、ギリシアの処女神と混同されることがあるが、全く性格の違うイオニアの神であった(p99抜粋)。
と書かれている通り、元々は地元の豊穣と多産の大母神で、ギリシア神話のアルテミスとは全く別なのですが「エペソスといえばアルテミス」というのが、定着しちゃっているみたいですね。
「ペーネロペイア」は右側にペーネロペイアが描かれており、左側に(恐らく)帰還したオデュッセウスが描かれています。背景は(恐らく)イタケのオデュッセウスの館と思います。オデュッセウス好きの自分には(そしてデルヴォーさんに多大な影響を与えた『オデュッセイア』でもあるので)このポストカードは欲しかったのですが、残念ながら未販売。個人的には今回のメインに近かったです(小さくて簡単に見えるオデュッセウスがかわいい)。
「オリンピアのゼウス神殿」は人物が描かれていなく、神殿だけです。天辺の像は……ガニュメデスを攫うゼウス…? 不明です。何故かこれは輸入ポストカードで販売されていました。
「カリュプソー」はデルヴォーさん最後の油彩との事。素人の目には何となく、印象派の絵画のようにも見えました。1986年の作、本当につい最近の事なんですね。カリュプソーさんの目と同じ高さにある「人が乗っている帆船のような」色合いの部分が、去っていくオデュッセウスでしょうか。もしそうだとすると、カリュプソーさんが少し微笑んでいるように見えるのは私の気のせいですかね……。
この他「ローの婦人」という作品に、
注意深く本作を見ると、読んでいる本はホメーロスの『オデュッセイア』であることが推測できる(カタログp81抜粋)。
とありました。「ホメーロスの『オデュッセイア』」という事が分かる何かがあるんだと思いますが、私には分からなかったです。本の色、大きさ、模様そして年代などから推測できるのかな……本以外に『オデュッセイア』を想像させる物はないように思えます(何か悔しいですね……)。
いかにもデルヴォーさん、という作品は少なく、どちらかというと「美術玄人が好む」美術展に感じました。私のような「美術素人」には「夜、薄明かり、虚ろな裸の女性」の作品を沢山観たかったのですが、どの作品も所々に「ギリシア神話的要素が入っている」ような気がして(というか図録にも書いてあった通り、恐らく入っているのでしょう)、存分に楽しめました。
チケットです。著作権的にはマズイと思いますが、チケットとして載せています。
京王線新宿駅にはられていたポスターです。左側はAKB……。とても大きいので、これは東府中も凄いかな、と思いましたが、駅前の市の広報みたいな掲示板にちょっろっとだけでした(少し残念)。
【購入グッズ】
図録 \2100
ポストカード
ポール・デルヴォー エペソスの集いⅡ \100
ポール・デルヴォー 夜の使者 \100
ポール・デルヴォー 夜明け \100
ポール・デルヴォー ローの婦人 \100
ポール・デルヴォー 訪問Ⅳ \100
ポール・デルヴォー ≪伝説の旅≫<1974年>のための習作 \100
ポール・デルヴォー グラン・マラドの水門<南側の眺望> \100
ポール・デルヴォー トンネル \100
ポール・デルヴォー 行列 \100
ポール・デルヴォー 会話 \100
ポール・デルヴォー 夜の訪問者(≪夜の使者≫(1980年)のための習作) \100
ポール・デルヴォー 森の中の裸体群 \100
ポール・デルヴォー ≪眠れる街≫(1980年)に基づく舞台背景の習作 \100
ポール・デルヴォー グリーティング・カード \100
ポール・デルヴォー 森の小径 \100
ポール・デルヴォー カリュプソー \100
ポストカード(輸入版)
ポール・デルヴォー オリンピアのゼウス神殿 \150
不明 ポール・デルヴォーの写真 \150
額絵
ポール・デルヴォー エペソスの集いⅡ \1000
クリアファイル
ポール・デルヴォー エペソスの集いⅡ \350
ポール・デルヴォー 夜の使者 \350
ポール・デルヴォー 夜明け \350
ポール・デルヴォー ローの婦人 \350
ブックマーカー
ポール・デルヴォー エペソスの集いⅡ \500
マグネット ポール・デルヴォー
エペソスの集いⅡ \500
図録を除き、クレジットカードは利用できます(図録だけ現金で、グッズはクレカ、という支払いも可能でした)。
今回はギリシア神話関係なく、全ポストカード(16種類)を購入しました。この他、輸入ポストカードがあり、こちらは2枚程購入。クリアファイも全種類(4種類)購入。
最近の美術展で販売が復活してきた額絵は2種類(「エペソスの集いⅡ」と「トンネル」)ありましたが、ギリシア神話に関連する「エペソスの集いⅡ」だけを購入。 ブックマーカー、マグネットも「エペソスの集いⅡ」を購入しました(この他、バッグが販売されていましたが、未購入)。
6箇所も巡回する為か、比較的グッズは豊富に販売されています。ギリシア神話関連は少なかったですが、個人的に好きなポール・デルヴォーさんという事でグッズは大量購入となりました。
ポストカード全16種類です。著作権の関係でイメージが載せられませんので、裏面のみです。寂しいですが、ご了承の程を……。
出品作品リストです。これは「単なる情報」ですので、著作権的には問題ないと思います。
【ギリシア神話の絵画とポストカード】
No | 作者名 | 作品名 | ポストカード |
1 |
ポール・デルヴォー |
≪鏡の前のヴィーナス≫(1946年)のための習作 |
× |
2 |
ポール・デルヴォー |
≪ピュグマリオーン≫(1939年)に基づく舞台背景の習作 |
× |
3 | ポール・デルヴォー | エペソスの集いⅡ | ○ |
4 | ポール・デルヴォー | ペーネロペイア | × |
5 | ポール・デルヴォー | オリンピアのゼウス神殿 | △ |
6 | ポール・デルヴォー | カリュプソー | ○ |
△ 輸入ポストカードとして販売