橋本コレクション 指輪 神々の時代から現代まで 時を越える輝き

THE RINGS from The Hashimoto Collection of The National Museum of Western Art

国立西洋美術館

20140708-20140915

2014年7月18日(金) 曇時々雨 13時00分~13時45分頃

 

【総評】

 

 意外と人がいます。会話や見ているキャプション等から、どうも指輪や宝飾に興味のある方が来ていた様な感じでした(因みに私は全く知識がありません)。

 

 ギリシア神話関連ですが、37点ありました。

 

01.「スフィンクス」紀元前6世紀 エトルリア 金

02.「ペガソス」紀元前5世紀 古典期ギリシャ ブロンズ

03.「女神ニケ」紀元前4世紀後期 古典期ギリシャ ガラス、金

04.「女神ニケ」紀元前2世紀頃 ヘレニズム文化圏 金

05.「四頭立て馬車に乗るヘリオス」紀元前1世紀後期 ヘレニズム文化圏 ラピスラズリ、金

06.「ディオニュソスに扮したプトレマイオス12世アウレテス」

 インタリオは紀元前1世紀、指輪は現代 ヘレニズム文化圏 アメシスト、金

07.「パラス・アテナ」18世紀 イタリア オニキス、金

08.「サテュロスとユピテルを表すブルガリ製リング」指輪は1975年頃、インタリオは2世紀頃

 指輪はイタリア、コインは古代ローマ カーネリアン、オニキス、金、プラチナ

09.「サテュロスが表された兜をかぶる女神アテナ」紀元前1世紀 古代ローマ カーネリアン

10.「グリュプス」紀元前4世紀 古典期ギリシャ ブロンズ

11.「ユピテル・アモン」帝政ローマ時代、2世紀 エジプト ブロンズ

12.ヘンドリク・ホルツィウス(1558-1617)『古代の神々』:ユピテル(ポリドーロ・ダ・カラヴァッジオ原画)

13.「ネメアの獅子と闘うヘラクレス」紀元前2?1世紀 ヘレニズム文化圏 ガーネット、金

14.ゼーバルト・ベーハム(1500-1550)『ヘラクレスの十二の功業』:ネメアのライオンを殺すヘラクレス 1548年

15.「ヘラクレスとステュムパリデスの鳥」紀元前4世紀頃 エトルリア カーネリアン

16.「ステュムパリデスの鳥を射るヘラクレス」紀元前5?4世紀 古典期ギリシャ ブロンズ

17.エミール=アントワーヌ・ブールデル(1861-1929)「弓を引くヘラクレス(習作)」1909年

18.「矢と棍棒を持つエロス」 紀元前4世紀後期?3世紀前期 古典期ギリシャもしくはヘレニズム文化圏 ブロンズ

19.「ケリュケイオンを持つヘルメス」紀元前3?2世紀頃 ヘレニズム文化圏 金

20.ヘンドリク・ホルツィウス(1558-1617)『古代の神々』:メルクリウス(ポリドーロ・ダ・カラヴァッジオ原画)

21.「ヘルメスの杖」2世紀 古代ローマ サードニクス、金

22.「ケリュケイオンを持つヘルメス」紀元前4?3世紀 古典期ギリシャもしくはヘレニズム文化圏 ブロンズ

23.「パトロクロスの死を嘆くアキレス」18世紀後期?19世紀前期 おそらくイギリス カーネリアン、金

24.「セイレンたち」インタリオは紀元前2?1世紀、マウントは現代 ヘレニズム文化圏 アメシスト、金

25.「レダと白鳥」16世紀 金、鉄、鍍金

26.サルバドール・ダリ(1904-1989)『神話篇』:レダ 1964年

27.マルカントニオ・ライモンディ(1470/82-1527/34)「マルス、ヴィーナスとキューピッド」1508年

28.「エロスのガラスカメオ」紀元前1世紀 古代ローマ ガラス、金

29.「コルヌコピアを抱える豊穣の女神フォルトゥーナ」17世紀後期 コイン、ブロンズ、鍍金

30.ナサニエル・マーチャント(1739-1816)「ユピテル・セラピスのインタリオ」1779年 イギリス カルセドニー、金

31.「ウェヌスの凱旋」16世紀、古代ローマ風のマウントは後世 おそらくミラノ サードニクス、金

32.ナサニエル・マーチャント(1739-1816)「ヒッポリュテーを支えるヘラクレス」1779?81年 イギリス サードニクス、金

33.「牧神パンを表す珊瑚のカメオ」

 カメオは1830?40年頃 カメオはイタリア、マウントは不明 ダイヤモンド、珊瑚、金、銀

34.「キューピッドのカメオ」16世紀 オニキス、金

35.「キューピッド像をあしらった指輪」おそらく16世紀 スカンジナビア 水晶、銀、鍍金

36.「ペプロスを着た女神」紀元前4?3世紀 古典期ギリシャもしくはヘレニズム文化圏 ブロンズ

37.ジョルジュ・ブラック(1882-1963)「魔法使いキルケー」1961年 フランス 瑪瑙、金

 

 正直、観るのは大変でした。物が小さい上にガラスケースで被われていますので近寄って観る事もできません。絵画と違って他の方が一人でも観られていると観れませんし……「う~手に取ってみたい」と普通に思いました。

 

 個人的に気になったのは11.「ユピテル・アモン」。普通の指輪とは違って丸や四角ではなく彫刻のように上半身がそのまま指輪になっています。結構珍しいように思えました。

 

 09.「サテュロスが表された兜をかぶる女神アテナ」は綺麗だったのですが、何度観てもサテュロスが分かりません。家に帰って図録を見ても分からず……何か悔しい。

 

 15.「ヘラクレスとステュムパリデスの鳥」は精緻で綺麗だったのですが、何故12難業の中でも地味な鳥退治(といっても普通の鳥ではないですけど)を題材にしたのか気になります。あの小さな中に3羽も表現していますので、ある意味「腕を競っていた」のかなぁと。

 

 19.「ケリュケイオンを持つヘルメス」は古代ギリシャコインを思い起こさせました。こういったデザインはコインでは見かけませんが、状態が非常に良いです。金らしいですが、ちょっとくすんだ感じはエレクトラムっぽく見えました(金と銀が混ざった物)。

 

 ちょっと時代は新しいですが07.「パラス・アテナ」は精緻でした。因みにアテナ女神に付く「パラス」という枕詞ですが、フェリックス・ギラン著「ギリシア神話」(青土社)によると、

 

 アテーナーの名にしばしばつく詩的な添名Pallas(パラス)は「打つ」というギリシア語か、それともむしろ「少女」の意のギリシア語に由来するのであろう(p67抜粋)。

 

 との事です。この他、アテナ女神が倒した巨人パラースからとか、 トリトーニスの娘で誤って殺してしまったパラス(所謂パラス像はこのパラスさんが元らしいです)からとか、諸説あるようで、はっきりした事は分からないそうです。

 

 後、リングではないんですが26.サルバドール・ダリさん「レダ」のリトグラフは始めてみました。ガラさんがモデルのレダは見た記憶があるのですが、これは初めてです。白鳥の足が鷲の物(?)っぽいので、これでゼウスを表しているのかなぁと。

 

 個人的に興味のある古代ギリシャコインと年代が近いものがあり、美術館が持っている(元は個人ですけど)物でも「状態」的はそう変わらないんだな、という事が実感できて良かったです。

 2,000年以上前の「小さくて精緻」な遺物、指輪もコインもある意味、魅力は同じでした。まぁただ、指輪は購入できる値段ではなさそうですけどね……。

【購入グッズ】

 

図録 \2,400

 

ポストカード

 紀元前4世紀後期古典期ギリシャ 「女神ニケ」 \100

 

ファスナーバック \360

 今回、グッズはないかなと思っていましたが、ちょこっと販売していました。リングのマークがかわいかったのでファスナーバックを購入。最近、ファスナーバックは余り見かけなくなりましたね(でも西美は結構作っているかも)。