古代ギリシャコインその3
2012年10月06日(土)~
ギリシア神話でコインというと「オボロス」が有名ですが、コインの世界では「オボル(obol)」と呼ばれています。このオボルには何種類かあります。基本単位のドラクマをベースに、
単位名(日本語) | 単位名(英語) | 単位 | 重量 | 備考 |
ドラクマ | Drachm | 6 obols | 4.3g | 1ドラクマ=6オボル がベース |
テトロボル | Tetrobol | 4 obols | 2.85g | |
トリオボル | Triobol | 3 obols | 2.15g | ヘミドラクマ(Hemidrachm) |
ディオボル | Diobol | 2 oblos | 1.43g | ジオボル |
トリヘミオボル | Trihemiobol | 1.5 obols | 1.07g | |
オボル | Obol | 1 obol | 0.72g | |
トリタルテモリオン | Tritartemorion | 3/4 obol | 0.54g | |
ヘミオボル | Hemiobol | 1/2 obol | 0.36g | |
トリヘミタルテモリオン | Trihemitartemorion | 3/8 obol | 0.27g | |
テタルテモリオン | Tetartemorion | 1/4 obol | 0.18g | |
ヘミタルテモリオン | Hemitartemorion | 1/8 obol | 0.09g |
となっています(※)。地方で呼び名が違う場合があり、例えば「ディオボル」は「ジオボル」と呼ばれたりするそうです。また、「1ドラクマ=6オボル」ですので「0.5ドラクマ=3オボル」となり、トリオボル(3 obols)だったりヘミドラクマ(1.5 drachms)だったりするようです。
今回のコインは「ジオボル」となっており「2 obols」のコインです。
(※)アッティカ・スタンダード
座光寺悦子著「古代へのいざない Numismatic Jewellery」P78 抜粋。
項目 | データ |
場 所 |
黒海沿岸 アポロニア ポンティカ |
表 面 |
アポロン頭部像 |
裏 面 |
アンカー |
年 代 |
BC400-350 |
単 位 |
ジオボル |
材 質 | 銀 |
サイズ | 10mm |
重 量 | 1.25g |
状 態 | VF+ |
金 額 | \--- |
購入日 |
2012/08/10 |
No:000U_0001
無表情なアポロン神です。ですが、何故かとても気に入っています。何故かと言われても困るのですが、感覚的に……。裏面はアンカー(錨)がメインで、左側にミントマーク(鋳造所を示すマーク)、右側にはロブスターが描かれています。
このコインは「アポロニア ポンティカ」という黒海沿岸で作られたらしいのですが、そこではゴルゴン(メデューサ)のデザインが多く、アポロンのデザインは少ない気がします。但し裏面は同じデザインで「アンカーとロブスター」が記されています。
No:000U_0002
コイン店の保証書には、
ギリシャ黒海沿岸のアポロニア地方ポンティカ発行のジオボル銀貨。(貨幣単位は同じ呼び名でも地方によって重量に変化有り) 表面は正面を向いたアポロン像、裏面には、アンカー(錨)が全面に刻印されトーンが効いたコイン。
と書いてありました。トーン(tone)は煤の様な黒ずみの事ですが、ここに書かれている通り、まんべんなく薄い青色で非常に綺麗です。
トーンが綺麗で状態も良く、アポロン神の顔もセンターに刻印されています。ルーペで良く見ると「目の玉」まで表現されていたようです(0.5mm以下)。
ただ、残念な点としてはアポロン神の右目の上に非常に小さいですが、傷があります(これが作成時の物なのか後で付いたのかは分かりませんが)。また、裏面のロブスターのハサミや足がほとんどありません。綺麗なコインではハッキリと「ロブスター」が確認できます。
とはいえ、ここまで綺麗な物はそうそうないと思います。まあ、ちょっと高かったですけどね……。